VLANとスパニングツリーで始める中小規模オフィスのネットワーク設計
L2スイッチのVLAN設計からSTPの動作確認まで、実際のコンフィグを交えながら解説します。
構成の前提
今回は以下のような環境を想定します。
- 拠点1箇所、社員30〜50人規模
- L3スイッチ1台 + L2スイッチ(フロアごと)
- 業務系 / ゲストWi-Fi / サーバーセグメントの3つに分離したい
- ルーターはYAMAHA RTXシリーズ
VLAN設計
まずセグメントを決めます。
| VLAN ID | 用途 | サブネット |
|---|---|---|
| 10 | 業務PC | 192.168.10.0/24 |
| 20 | ゲストWi-Fi | 192.168.20.0/24 |
| 30 | サーバー | 192.168.30.0/24 |
| 99 | 管理(OOB) | 192.168.99.0/24 |
ゲストVLANはインターネットのみ許可し、業務・サーバーセグメントへのルーティングはACLで全ドロップします。管理VLANは物理的に別ポートに収容するか、最低限アクセス元IPを絞ります。
L3スイッチ側の設定例(Cisco IOS)
vlan 10
name Business
vlan 20
name Guest
vlan 30
name Server
vlan 99
name Management
interface Vlan10
ip address 192.168.10.1 255.255.255.0
no shutdown
interface Vlan20
ip address 192.168.20.1 255.255.255.0
no shutdown
! ゲストから業務・サーバーへのルーティングを遮断
ip access-list extended BLOCK_GUEST
deny ip 192.168.20.0 0.0.0.255 192.168.10.0 0.0.0.255
deny ip 192.168.20.0 0.0.0.255 192.168.30.0 0.0.0.255
permit ip any any
interface Vlan20
ip access-group BLOCK_GUEST in
スパニングツリー(STP)の設定
L2ループを防ぐためにSTPは必ず有効にします。ただし、デフォルトのCSTP(802.1D)は収束が遅い(30〜50秒)ため、RSTP(802.1w) か MSTP(802.1s) を使います。
RSTPへの切り替え
spanning-tree mode rapid-pvst
ルートブリッジは明示的に固定します。自動選出に任せると再起動のたびに変わる可能性があるためです。
! L3スイッチをルートブリッジに固定
spanning-tree vlan 10,20,30,99 priority 4096
! アクセス層のL2スイッチ
spanning-tree vlan 10,20,30,99 priority 32768
PortFast と BPDUGuard
エンドデバイス(PCやAPなど)が接続するアクセスポートには PortFast を有効化してリンクアップ直後のフォワーディングまでの待ち時間をゼロにします。合わせて BPDUGuard を設定しておくと、誤ってスイッチを接続したときにポートをシャットダウンして保護できます。
interface range GigabitEthernet0/1 - 24
spanning-tree portfast
spanning-tree bpduguard enable
トランクポートの設定
L3スイッチとL2スイッチ間のアップリンクはトランク(802.1Q)にして複数VLANを通します。
! L3スイッチ側
interface GigabitEthernet0/1
switchport trunk encapsulation dot1q
switchport mode trunk
switchport trunk allowed vlan 10,20,30,99
! ネイティブVLANは使用VLANと被らないIDに変更(デフォルトの1は使わない)
switchport trunk native vlan 999
疎通確認
設定後は以下のコマンドで確認します。
| |
show spanning-tree でルートブリッジが意図したスイッチになっているか、BLK ポートが想定箇所に出ているかを確認してください。
まとめ
- VLAN設計はセグメントの役割を先に決めてからIPアドレスを割り当てる
- STPはRSTPに切り替え、ルートブリッジは手動で固定する
- アクセスポートにはPortFast + BPDUGuardをセットで入れる
- トランクのネイティブVLANはデフォルトのVLAN 1を使わない
設計の段階でこれらを意識しておくだけで、あとから「ループが起きた」「セグメント間が意図せず通信できている」といったトラブルを大幅に減らせます。